皆さん、こんにちは!
連日のキャスター交換修理、本当にお疲れ様です。件数をこなすうちに、そろそろ自分なりのルーティンや効率の良い手順が固まってきた頃でしょうか?!

今日は、作業に慣れ始めたプロの皆さんが必ず一度はぶち当たる、ダブルキャスター修理の「超・厄介なパターン」とその解決策をご紹介します😅

ダブルキャスタータイプのスーツケースにおいて、ある特定のメーカーでは軸が本体(樹脂台座)に直接ガッチリ固定されているケースが存在するのをご存じでしょうか?

それがこちら。

「いつも通りキャスターの外側を外したのに、なぜか軸だけが残って全然抜けない…?!」という状況、焦りますよね。
力任せにプライヤーで引っ張ろうとして、本体のプラスチックを割ってしまいそうになったり、手を滑らせて痛めてしまったりした経験はありませんか?

そこで今回は、普段は靴修理で大活躍する「ネールヒーター」を使い、この頑固な抜けにくい軸を驚くほどスマートに引き抜く便利な活用術をご紹介します!

ネールヒーター ケーブルセット 100V VDE0570

🛠️ 今回使用する主な道具

  • ネールヒーター
  • プライヤー(軸を滑らずにガッチリ掴めるもの)
  • 交換用キャスターパーツ
  • ボルトカッター / ドリル(事前の解体用)

👨‍🔧 ネールヒーターを使ったキャスター軸の抜き方

手順は非常にシンプルですが、熱を使うため「タイミング」がポイントになります。

1.いつも通りキャスターを外す

まずは下準備です。
通常の手順通り、キャスターのカシメの頭パーツをドリルで削り落とすか、あるいは車輪のゴム部分をボルトカッターなどを用いてカットし、まずは車輪自体を外してください。

2.ネールヒーターで軸を温める

ここで強力な助っ人「ネールヒーター」の登場です。
金属軸の「付け根部分」にネールヒーターを当て、ピンポイントで熱を加えていきます。

💡 ポイント
周囲のプラスチックパーツを溶かしすぎないよう、軸の中心部分だけを狙って熱を伝えるのがコツです。

3.少し煙が出たら「回しながら」引き抜く

しばらく温めていると、軸の周りから少し煙が上がってきます。これが「引き抜き時」のサインです!

熱によって軸の周囲の樹脂がわずかに緩んだ瞬間を狙い、ペンチで軸をガッチリと掴みます。そのまま真っ直ぐ引っ張るのではなく、「グリグリと回しながら」引き抜いてください。

今回取れた軸パーツ(日本製Ace のスーツケースのキャスター事例)

タイミングが合っていれば、綺麗に軸が抜けます!

4.あとは普通にキャスター交換をするだけ

ここまで来たらもう何も怖いものはありません。昴で売ってるダブルキャスターや軸を使ってキャスター交換するだけです。

⚠️ 修理時の注意点

  • 火傷(やけど)に注意
    加熱された軸やネールヒーターの先端は非常に高温です。絶対に素手で触れないようにご注意ください。また、先端の起き場所にご注意ください。
  • 換気をしっかり行う
    熱で樹脂がわずかに焦げるため、少し煙と臭いが発生します。必ず部屋の窓を開けるか、換気扇の下で作業を行ってください。
  • 加熱しすぎない
    煙が多く出すぎるほど加熱すると、キャスターの台座(プラスチック部分)が変形してしまい、新しいキャスターが固定できなくなる恐れがあります。「少し煙が出たらすぐ抜く」を意識してください。

まとめ

これまでは引っ張ってもなかなか抜けず、フィニッシャーで強引に削ったり、ドリルで強引に穴をあけたりと、力業でなんとか解決していた職人さんも多かったかと思います。

しかし、このネールヒーターによる「熱の力」を借りれば、力もいらず、パーツを壊すリスクも減らし、驚くほどスピーディーに軸を抜くことができます。作業効率のアップは間違いありません!

「あのメーカーの軸、いつも抜けなくて時間がかかるんだよな…」と諦めていた方は、ぜひこの機会にネールヒーターをご購入いただき、靴修理店だからできる技術を試してみてはいかがでしょうか!

(株)昴